意外と深い、スーツの世界

ダイビングに限らず、サーフィンなどのマリンスポーツには欠かせないスーツ。水着の代わりに着る、というものではなくマリンスポーツをするなかで様々な面から体を保護してくれる役割があります。そのため軽く見ていると、思わぬトラブルにつながる可能性もあるのです。

スーツの役割

スーツにはウェットスーツ、ドライスーツ、セミドライスーツの3種類がありますが、役割は基本的に同じ。海中の鋭い岩やサンゴ、また波にさらわれたときなどの衝撃から体を守る役割。そして体温より低い海水の冷たさから体を保護し、必要以上に体温を奪われることを防ぐ役割があります。ほかにも日焼け防止や重い機材との摩擦から皮膚を保護する、といった面も。

そして様々な役割のなかでダイビングにおいてもっとも重要なのが保温機能。真夏といえども海中は体温よりだいぶ冷たく、最適なスーツをチョイスしていても長時間海中にいるとやはり寒さを感じることが多いです。そのため丸1日ダイビングをするといった日でも延々潜っているわけではなく、適度にインターバルをとるのが基本となります。合間に日差しに当たり、体をあたためるのです。

そのためダイバーたちは海水温に合わせた複数のスーツを持っていて、それぞれ海域や季節に応じて使い分けています。季節も場所も毎回同じ場所で潜る、ということなら1種類でも構いませんが、違う海にチャレンジする場合は手持ちのスーツで事足りるかどうか必ずチェックするようにしましょう。

スーツの種類、選び方

では実際どんなふうにスーツを選べばいいのか。スーツを選ぶには、潜りたい海の情報をしっかり把握することが大事。今の時期の海水温は何度くらいなのか、天候は安定しているのかどうかをチェックし、それにあわせて選ぶようにしましょう。

基本的にウェットスーツは温暖な海域を潜る場合や夏場に使うのが基本で、ドライスーツは海水温が低い海域や肌寒い季節に着ることが多いです。また夏場でも天候が荒れていて、風雨が強いときはドライスーツやセミドライスーツを着ることもあります。

選ぶ基準となる温度は、20度。海水温が20度あればウェットスーツでも比較的快適にダイビングを楽しむことができますが、それ以下だと冷たさで体がかじかみ、動きが妨げられる可能性があります。20度以下の場合はドライスーツかセミドライスーツの着用がおすすめです。もちろん水温だけでなく、気温や風の強さも関係してきますのであくまで目安と考えてください。しかしドライスーツはいちばん保温性能に優れている反面、非常に動きにくく、着脱も難しくなります。さらにうっかり岩などで傷をつけてしまい、海水が侵入してしまうとほかに水の逃げ場がなくなり、おぼれてしまうこともあるそうです。ドライスーツが発売された当初は比較的こういったトラブルが多かったようですが、最近は改良がされて事故の確率はかなり低くなりました。それでも初心者には扱いが難しいため、慣れないうちは適度に水が抜けるセミドライを着用し、暖かい海域を選ぶようにしましょう。

ただこの20度、というのはあくまで目安。寒さの感じ方には個人差があるため、一概に20度あるからといってウェットスーツでOKかどうかというのは難しいところです。実際11月や5月など、季節の変わり目になると厚手のウェットスーツを着ている人、セミドライを着ている人、ドライスーツの人が入り混じっていることもしばしば。この辺りの加減は自分の経験によるものが大きいので、周囲の意見よりも自分の感覚を大切にした方がいいですね。ただ寒いよりは、暑い方が水を飲んだりかぶったりと対策の使用があります。なので念には念を入れ、迷ったときは保温機能が優れている方を選ぶのが無難といえるでしょう。

ダイビングはスーツ次第で快適で楽しいものになったり、修行のような過酷なものになったりします。とりあえず、で選ばずに潜る海の情報をしっかりと把握し、確実なものを選ぶことがダイビングを楽しむための最初の一歩となるのです。